大路を走らば

映画とか、漫画とか、ゲームとか、エンタメって素晴らしいですね!

グリーンブック(2019年)感想 男の友情ロードムービーの歴史にまた1ページ

監督:ピーター・ファレリー

音楽:クリス・バワーズ

出演:ヴィゴ・モーテンセンマハーシャラ・アリ

製作国:アメリ

上映時間:130分

 

あらすじ(映画.com様より抜粋)

1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップは、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていた。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手として雇われる。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。出自も性格も全く異なる2人は、当初は衝突を繰り返すものの、次第に友情を築いていく。

 

 

MY評価82点

 

 

グリーンブック観ました!

アカデミー作品賞ですよ、やっぱり観とかないとですよね。

それにしても、昨年の「ムーンライト」に続いて今年も黒人がテーマですか。

 

アカデミーの作品賞って、エンタメ要素が少なくって、人に勧めにくいのが多い気がするんですよね。

「ムーンライト」も個人的にはかなりササったんですが、人に勧めにくかったり、、、

 

と、少し身構えながら劇場へ足を運んだのですが、

 

普通にエンタメしてますよ!良いですよ!これ!

考えてみれば、ロードムービー+男の友情=面白い!じゃあないですか!

ノッキングオンヘブンズドア」しかり、「スケアクロウ」しかり。

今回はそこに音楽が加わってるわけです!

これはもう、つまらないわけがないですよね!

 

監督はピーター・ファレリー

この方「メリーに首ったけ」の監督さんだったんですね。どうりでギャグにキレがあるわけですよ。

 

キャストもすごいぞ!

トニー役のヴィゴ!もうね、キャラクターの説得力がすごい!豪快なキャラなんですが、演技が非常に細かいんですよー。

ドン・シャーリー役のアリもすごい!繊細であり、一見冷静で落ち着いているように見えて、実は孤独を抱え悩むシャーリーにハマり役です!

トニーの奥さんも良いし、その親族達も良いし、、、

嗚呼!たまりませんな!

 

実話に基づく話なので、狙ってそうしたわけではないと思うのですが、トニーがイタリア系アメリカ人だったってのがまた良いっすね!

なんだかイタリア系ということで、黒人差別に対してそこまでディープに足を突っ込んでないような印象を持ちました。

少し他人事というか。

だからこそ、二人の友情の育みがある意味スムーズに入ってきました。

また、イタリアの人達って家族を大切にして結束するじゃないですか、この結束って黒人のグループに通じるものがあると思うんですよね。

ドンは黒人でありながら、上流階級にいるものですから、黒人グループに属せない孤独を感じてるわけです。

この対比を自然と作り出せるわけです!

だからこそラストに黒人グループを新たに出すことなく、自然な流れでグループに入るドンを描けるわけです!

嗚呼!美しい!

 

演出やシナリオも丁寧!

その後の展開に繋がることや、登場人物の想いが自然と提示されるんですよね。

トニーがホテルで奥さんの写真を見て、机に置く時に、店に戻したはずの翡翠がさり気なく置いてあるんですよね。

あれ?見間違いかな?と思ったら後の方でちゃんと出てくる。

銃のくだりもちゃんと回収されるわけです。

ドンの孤独が判明する流れも良いですよね。いろんなシーンで、ドンが黒人からも敬遠されてるんじゃないかって描写が入ってくるわけです。

そして雨の中での慟哭ですよ!

やっぱり孤独だったのか!と、ガツンと来ました!

ドンが旅の終わりに車を運転しているのが良いですよね。何よりも人種や身分をなど何もない、二人の友情を感じました。

嗚呼!見事!

 

何よりもこの話でグッとくるのはドンのピアノ演奏シーンですよね!

ドンがピアノを演奏し終わると、必ずニコって笑うんです。

これがすごく印象的だったんですけど、物語の中盤、ドンが差別を受けて静かに怒った後、そのままピアノ演奏のシーンになるんですよ。

そこでやっと気づいたんですけど、ドンは遣る瀬無さとか、怒りをピアノに込めて演奏してるんです。

そして演奏が終わると、演奏を聴きに来た白人達にニコって笑いかけるんです。

まさにドンの処世術そのものですよね。

だからこそ、バーのシーンで笑いながらピアノを弾くシーンが、もう、エモい!

嗚呼!素晴らしい!

 

ロードムービーで南部というと、「イージーライダー」を思い出して身構えましたけど、こちらは幸せに終わり、

最後のオチもシャレが効いてて素晴らしい!

 

惜しむらくは、アカデミー作品賞を取ってしまったということ。あんまりハードルを上げても良くないかもしれません。

知る人ぞ知る映画くらいに収まったほうが実は楽しく鑑賞されやすいかも知れないです。

 

なんだか尻切れトンボになりましたが、普通に良い映画です!

 

あやしうこそものぐるおしけれ