大路を走らば

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オーヴァーロード(2019年)感想 戦争、ホラー、クリーチャー、アクションの絶妙なマリアージュ

監督:ジュリアス・エイヴァリー

音楽:ジェド・カーゼル

出演:ジョヴァン・アデポ

製作国:アメリ

上映時間:110分

 

あらすじ(映画.com様より抜粋)

第2次世界大戦時、ナチス占領下のフランスの小さな村を舞台に、思わぬ敵と戦うはめになった米軍兵士の姿を描いた。第2次世界大戦下の1944年6月。ノルマンディー上陸作戦が開始された直後、ナチス占領下のフランスに、侵攻作戦の成功を担う重要な使命を帯びた米軍の落下傘部隊が送り込まれる。激戦を潜り抜けて経て生き残った兵士たちは、ナチスの要塞となった教会の塔に潜り込むが、地下にある謎めいた研究所でこれまで誰も見たことのない敵と遭遇する。

 

 

 

オーヴァーロード観ました!

まーたナチスの秘密実験ですよ。創作物におけるナチスってなーんて便利なんざんしょ。ゾンビか悪魔か、今回はどっち出てくるんだろう?「フロムダスクティルドーン」的に後半怒涛の方向転換かしら?この目で確かみてみろ!の精神で劇場に行ってまいりました。

 

 

MY評価:75点

 

 

不思議な映画ですよ。戦争物としてもしっかり作られてる上にそこに怪物、ホラー要素を取り入れてるわけです。しかもあんまり違和感なく。意外なマリアージュを見せつけられました。

 

まず戦争描写。

戦争物における定番、キャラ立てと突然の死が上手!

戦争の本を書こうとする者、写真を撮る者、お喋りな皮肉屋、頼れる伍長良いキャラ立てです。

特に本の人の唐突の死!あれはもう唖然でしたね。しかもこの本のくだりについて後半触れられるあたりがとても良い!

使い方が燃える上に、散っていった仲間をちゃんと想っていることが伝わりエモい!

伍長も良かった!任務を第一に考え、時に冷酷、でも人間味もある!本当に頼れるお人でした。

主人公も良かった。あの絶妙に優しい感じ。足を引っ張る優しさじゃないとこが良いですね。

何よりも皮肉屋!彼が一等良かった!

子どもに対してトゲトゲしい態度取りつつも、気にかけてるんですよね。

主人公が子どもを助けに行こうと主張した時に助け舟を出すのは、もうエモい。

子どもを助けに飛び出すのも、いとエモい。

戦争特有の突然の死!要素は後半に行くにつれ減ってくわけですが、冒頭に畳み掛けるように描写されるため、緊張感は持続されます。

 

戦争特有の突然の死が収まり始めるとヌルヌルと侵食し始めるホラー、怪物要素。

ゾンビとか悪魔というより、未知の力というかなんというか。安易に悪魔の力とかにしない分、地に足ついてる感が非常に好ましいです。B級戦争物における秘密兵器感があって良いです。

クリーチャーになんかクトゥルフっぽいと思ってたんですけど、考えてみればタイトルが「オーヴァーロード」ですものね。

研究室のおぞましい実験感、非っっ常に良かった!頭だけで生きている女性!謎の液体に生きたまま浸されている村人!独房とそれを監視するための穴!機会の管が縫い付けられた仲間!うひゃー!大興奮!

ホラー的怖さ+敵地だから見つかったら銃撃という二重のドキドキ!よござんした!

さらに怖さを盛り上げるのが言葉のわからなさ。

研究所内で話されるドイツ語には字幕がつかないんですよね。だからこそ一層得体が知れない感が増す。見事です。

 

戦争、ホラーときて最後はモンスターとのラストバトル+爆発っていうもうベタベタのベタなアクション映画的展開を見せてくれるわけです。

そしてラストの爽やかさ!あんな爽やかな青空で終わるなんて!!!

 

絶妙です。

もっととっちらかっても、もっと大人しくなり過ぎても良くないわけです。とても絶妙なバランスで作品が出来上がってます。

戦争、ホラー、クリーチャー、アクション全部一定水準に達してるんですよね。

しかも親和性が高い。

ごった煮に見えてまとまってる。色んな顔を一度に楽しめる稀有な作品でした。

 

あやしうこそものぐるおしけれ