ケムリクサ感想とたつき監督の手腕について
ケムリクサ12話尊かったですねぇ。
戦闘シーンに若干ゃアラがあった気がしますが、最後のりんの涙、笑顔、言葉でもうオールオーケーですよ!
物語の締めにこそ神を宿らせるべきなのです。
さて、ケムリクサ12話の感想を語るとすれば、きっとケムリクサ全12話及びそれを取り巻く全てを含めて語らないといけないんじゃないかなと思います。
ケムリクサ、色々な楽しみ方があったと思います。その中でもやはり多くを惹きつけたのは、「考察」要素だったんじゃないでしょうか。
たつき監督の作品、前作「けものフレンズ」もそうでしたが、世界に散りばめられた謎、それがさりげなく提示され、さりげなく回収される。
「さりげなく」。ここが重要なのです。
「さりげなく」散りばめられているため、思考を巡らせることになり、「さりげなく」回収されるからこそ、一種のアハ体験的な快感に見舞われるのです。
伏線回収時に登場人物が大仰に「これこれがこうだったんだー!」と驚いても、感情的についていけなくなってしまうものです。
そして、「さりげなく」の技にも関係しますが、たつき監督の作品に盛り込まれた大きな技は次のものだと思います。
◆情報の格差をあえて発生させ、世界観に深みを持たせ、情報交換を活発化させる
けものフレンズの考察が盛んになった理由の一つに、アプリ版の存在があったと私は考えています。
アプリ版という自分が知らない設定、これが作品内にちらちらと影を見せる。
これにより、アニメだけでなく、大きな世界観の広がりを感じることができるわけです。
そして情報を得る為に調べる。知っている人は教える。これにより交流が活発になります。
今回のケムリクサでたつき監督だからこその強さだと思ったのは、外側の世界を自分で作り出せるのです。
同人版のケムリクサもそうですが、何よりtwitterに投稿されている0.5話〜0.9話!アニメ以外の情報源を自ら作り出すことが出来るわけです。
今回はわかばメモもそうでしたね。
これらにより情報の格差が生まれるわけです。
情報の格差は、調べる動機を作り、また、教える動機を作り、情報交換が活発化、拡散するわけですねー。
「さりげなく」配置された謎や回答は、気づく者、気づかない者とで情報の格差を発生させ、
点在された「情報源」は世界の深さを作り出す。
格差による情報の波は、世界の深さに比例し深く高く波打ち、
明らかになる収束点に雪崩れ込む事になるわけです。
考察だけではなく、感情移入できるキャラ作りも良く出来ています。
だからこそ、考察以外のストーリーも楽しむことができるのだと思います。
けものフレンズで、物騒な考察をしていた人達が、10話頃になるとサーバルちゃんとかばんちゃんが幸せになる方法をこぞって考え始めてたのはその良い例だと思います。
今回なんかは、色々な考察を置いても、ラストのりんは素晴らしいものでしたしね。
実は私はこの先を楽しみにしているのです。
というのは、私の中でけものフレンズが伝説になった瞬間は12.1話が公開された時だったからです。
あれは、前例ないんじゃないですかね。
最終回を迎えたアニメの翌週に新作映像ですよ。衝撃でしたね。
この監督は一味違う!視聴者の事を考える人だ!と思いましたもの。
あの映像がたつき監督降板の引き金となったかはわかりません。
ただ、今回はそういった制約がないわけです。
制約がない今、この芽吹いたわかばはどのような広がりを見せるのか、
それが楽しみでなりません。
あやしうこそものぐるおしけれ